【中国】「人民の敵」蒋介石がブームに 台湾の独立の動きを牽制・統一に向けた中国当局の工作の一環か
「人民の敵」人気沸騰? 中国で蒋介石ブームの謎 2010.2.11 01:20 【北京=矢板明夫】中国では最近、台湾に渡った中華民国の 故蒋介石総統がブームだ。関連書物などが相次いで出版され、 浙江省にある蒋氏の旧家は人気の観光スポット。 毛沢東時代には「人民の敵」と位置付けられた蒋氏だが、急発展 する近年の中台交流で素顔が知られ、これまでのイメージとの ギャップに市民は関心を持つようだ。また、蒋氏がにわかに評価 されるようになった背景には、台湾統一工作を狙う中国当局の 思惑もありそうだ。 1月下旬、英国人作家、ブライアン・クロージャー氏が1976年に 出版した「蒋介石伝」が中国で初出版されたとのこと。同書は蒋氏の生涯 を客観的に分析したと評されるが、中国では長年、発売禁止とされ ていた。けれども、発売が解禁されると大反響を呼び、中国メディア は「等身大の蒋介石がようやく上陸した」と絶賛するということだ。 さらにその直後には、政府系の団結出版社が「蒋介石書簡集」を出版。 中国建国後、初めて発売が認められた蒋氏自身の文章をまとめた 同書は、再び話題を集めた。このほかにも、蒋氏の人生哲学や権謀 術数に関する書物が多数出版されたとのこと。 ある北京の出版業者は、「中国の映画に登場する蒋介石は1980 年代まで、短気で無能、無頼漢のような人物として描かれた。それが 宣伝のために作られたうそと分かった今、読者は蒋介石の真の姿を 知りたがっている」と分析した。 1月中旬に江西省廬山で開かれた「蒋介石と日中戦争」をテーマと するシンポジウムでは、中国と台湾の学者約50人が参加し、双方は 日中戦争で果たした蒋氏の業績を高く評価することで一致した。従来 の中国では「蒋介石は日本軍の侵略に抵抗しようとしなかった」との 見解が主流を占めていた。 ただ、中国当局が蒋氏を積極的に再評価するのは、蒋氏を尊敬する 台湾の馬英九総統に善意のメッセージを送るためだとの指摘もある。 「中国との統一」を主張する蒋氏を持ち上げ、台湾の独立の動きを牽制 して、統一に向けた工作の一環という見方も浮上しているらしい。